こんにちは。鈴木です。
インスタグラムが世に広まり、またカメラの性能やアプリの進化などによって、物を鮮明に写し出し、実物を見なくても視覚的に伝えることが容易になった今ですが、それだけでは伝えられない物も沢山あります。
O- “N.N.Z. CHONOS W -FADE-” ¥37,000-(¥40,700-tax in)
O-のこのネイビーのチノパンはまさにそれで、おそらくぱっと見は普通のネイビーチノ。
目で見てわかる情報は、ブランドの特徴でもあるマグネットフライ、アウトタック、サイドポケット横のスマホ用コンシールファスナーポケット、などですが、今回個人的に伝えたいのは目で見てわかる情報だけではありません。
ネイビーのチノパンのデメリットでもある「フェード(色褪せ)」。
そのフェードを味と捉えるかどうかでネイビーチノの寿命が決まるわけですが、僕が好きなのは程よいフェード感。
数回洗濯してちょっとヤレたくらいのフェード感です。
このネイビーチノは、それくらいのフェード感を最初から醸し出しており、そしてそれをかなり長い期間楽しむことができるよう、素材の研究や加工に数年を費やしたという、ブランド渾身のネイビーチノというわけです。
通常、糸は単糸2本を撚り合わせた双糸というのが一般的ですが、このカツラギ素材には「3本」の単糸を強く撚り合わせた「三子糸強撚糸」を使っています。
糸のレベルからコストをかけているのが伝わったかと思いますが、三本を強く撚り合わせることで糸の詰まり、強度がかなり高いので、着用や洗濯を繰り返しても生地の綾目が潰れません。
この綾目が潰れることがネイビーの色味が白っぽく色褪せしていく原因なので、綾目が潰れにくいということは色褪せしにくい、ということになります。
これで「フェードしないネイビーチノ」が出来上がります。
で、このブランドの変態っぽいところはここからなのですが(笑)、この「フェードしない」チノをあえて「フェードさせる」という試みを行なっています。
通常のウォッシュ加工では変化がないため、アルカリ性の液体を使ったバイオウォッシュ加工を行い、穿き込んだかのようなヤレた質感を半ば強引に作ったわけです。
ほのかにフェードした生地感、パッカリングの表情、伝わるでしょうか?
この全体的にフェードした感じは、普通に穿いていてもなかなか出せないんですよね、、。腿のあたりやシワが入る部分だけ部分的に白っぽくなってしまったりするので。
このちょうど良い状態を長いことキープできるって、めちゃくちゃ良くないですか?
実際にデザイナーが長期間穿いていたというサンプルを展示会で見させていただいたのですが、確かに未着用の物と変わらないフェード感でした。
ここからはオマケみたいな話ですが、
このN.N.Z.シリーズについている革のネーム、これがアルカリ性の加工により文字が潰れ、色も濃くなりカッチカチになっています(笑)。
この革ネームだけ加工の後に取り付けることもできるわけですが、あえてそれはせず、そのまま加工されてアルカリ性に浸されちゃった感じがなんだか可愛く思えます。
かろうじて「O-」の部分は読めなくもないですが、もはや何て書いてあるかわからないですから、、。
そんなわけで、このネイビーチノは最高です。
ついさっき慌てて撮ったので、夜のフラッシュ撮影です。色の雰囲気などわかりづらくてすみません。
175cmでサイズ32着用です。
ちょいレングス短めの気持ちゆったりシルエット、な感じです。
フェードしない素材を無理やりフェードさせてるっていうほこたてみたいな試みにとにかく心打たれました。
これはずっと作り続けて欲しいので、要するに皆さん買ってください。
( blankspace )とオンラインストアで販売中です。
鈴木
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